「カミル……あぁ、カミル、カミル!」
 
 朗報を聞き、矢も楯もたまらず、私ははしたなくも走って部屋へと駆け付ける。
 そんな私に、カミルは以前と変わらない微笑みで返してくれた。

「……やあ、リタ。素敵なレディになったな。ずいぶんと大人っぽくなった」

「カミル、あなたはどこまで……意識を失った時の、ことは……」

「……覚えてるよ」

「小屋で休んでいたら、雷が落ちて……」

「風車が小屋に飛んできて……壁が壊れたんだったな」

「あなたは、私をかばって……守ってくれたんです」

「そうだったか……? まあ……あまり気にするな」

 でも、八年という時間は、本当にあまりにも長すぎた。
 彼の身体はあの時とまったく違う。
 女の私よりもか細く、手折れてしまいそうな四肢となり果てて。
 そんな夫の姿を改めて視界に入れた時、何故だかわからないけど涙があふれてきた。