新に腕を引かれてやって来たのは、学校の屋上だった。
「良かった。間に合った」
間に合ったって……?
私が疑問に思っていると。
ヒューッ。
風を切るような音が聞こえたかと思えば、すぐに大輪の花が夜空に次々と咲いていく。
「うわぁ。きれい」
色とりどりの美しい花火が何発も打ち上がり、夜空を輝かせている。
「俺、去年の後夜祭の花火をたまたまこの屋上から見て。めっちゃ綺麗だったから。今年は、絶対に彩里と一緒に見たいって思ってたんだ」
「そう、だったんだ。本当に、きれい」
私と新はしばらく並んで、屋上から花火を眺める。
まさか、新とこうして花火が見られるなんて。
あまりの花火の美しさに、つい見とれてしまっていたけれど。私はしばらくして、あることを思い出す。
「……そうだ、新。好きな子に告白するんじゃなかったの? ここで私と花火なんか見てる場合じゃないんじゃない? 早くその子のところへ行かなくちゃ」
「いいんだよ。行かなくて」
「え?」
花火の光に照らされた新と目が合い、ドキドキする。
「俺が告白したい子は、今目の前にいるから」
それって……。
「好きだよ、彩里」



