「……彩里?」
しばらく私が廊下でうずくまっていると、突然誰かに声をかけられた。
俯いていた顔を上げると。
……え。
目の前に立っていたのは、新だった。
「あら、た。なんで新がここにいるの?」
「お前のこと、探してたんだよ。はぁ……彩里、やっと見つけた」
よく見ると、新は肩で息をしている。
もしかして、ここまで走ってきたの?
でも、どうして?
「彩里、ちょっと俺と一緒に来てくれるか?」
「え?」
私が返事をするよりも先に、新は強引に私の腕を掴んで走り出す。
「ちょっと新、どこ行くの!?」
「いいから、ついてきて」



