「今日一生懸命頑張っていたお嬢様に、ご褒美のプリンでございます」
執事服のままの新が胸に手を当て、綺麗な角度でお辞儀をする。
え、ご褒美!?
「せっかくだから、執事っぽく言ってみた。それは俺からの差し入れ。彩里、昔からプリン好きだろ?」
「そうだけど……」
うそ。新、私がプリン好きだってこと覚えててくれたの?
「彩里、接客中プリン食べてるお客さんのこと、よだれ垂らして見てたもんな」
「よ、よだれなんて出てないから! 新ってば変なこと言わないで!」
「ははは。つーかそれ、早く食えば? 彩里が食べないなら、俺が食べるけど」
「た、食べる!」
まさか、あの新が意地悪なことを言うなんて。
まるで昔の親しかった頃に戻ったみたいで、嬉しくなっちゃうよ。



