これも全部花火のせい


気まずい沈黙。

時間的には数秒なんだろうけど、かなには10数分くらい経ったように感じる。

その静寂を先に破ったのは昴汰だった。


「僕さ、花菜乃にサプライズしたかったんだよね。ここ、花火が凄く綺麗に見えるんだって。だから、花菜乃と見たくて。」

照れくさそうに口元に右手をやる。

これ、昴汰が照れてる時にする癖だ。


そこで、あっ、とあることを思い出した。


そっか。昴汰がここに連れてきた理由。

かなのこと分かってくれてるからこそここ、選んでくれたんだ。