これも全部花火のせい


「うるさいなぁ! っていうか、昴汰もでしょ?」

ばれた? と言って笑う昴汰に

「…でも今、赤いのは花火のせいだもん。だから、昴汰が赤いのも花火のせいってことにしよ?」

言い訳にも似た提案を持ちかける。


ちょっとふざけたかなの案に昴汰は賛成した。


それからすっと、かなの手を握る。


「それなら、これも花火のせい、だね。」

そうやって笑う昴汰にまた心臓がどきどきしてきた。


今なら何しても、なんて意味で提案したんじゃないけど……。

そうは思っても手を繋がれて嬉しくないはずもなく、かなもその手をぎゅっと握り返す。


少し恥ずかしくて、でも嬉しくて、今も見ている花火が心の中でも咲いているような感覚に陥った。



その後、色鮮やかな花火が空から姿を消す時まで、2人の繋がれた手は離れることはなかったのである。




fin