これも全部花火のせい


「ねぇ、昴汰。」

名前を呼ぶ。


「どうかした?」

不思議そうな声で答える昴汰がこちらを見る気配がした。


「今日、めっちゃ楽しいよ。」

あえて、昴汰の方を見ないで話続ける。


「かな、こんなに楽しい気持ちで花火見るの初めて。さっきは、あんなこと言っちゃったけど、ほんとにそう思ってるの。」


「うん。ありがとう。」

ほっとしたような声音。


「だからね、かなね。」

すっと深呼吸。

花火がドーンドーンと打ち上がる音を聞きながら。

さっき言えなかった言葉、今なら言えそう。


「昴汰のこと大好きだよ!かなも昴汰だから好きになったの。いつもありがとう。」

やっぱり照れる。


「花菜乃、赤くない?」

冗談めかした口調で昴汰が言う。