. . . ──とーりくん 静寂に沈んだ声に、意識が浮上する。 そこにいたのはショートヘアで小柄な男だったが、動揺に呑まれた声はまるで女のように細かった。 こんなところにいるわけがない。 しかしその深海を思わせる瞳には見覚えしかなかった。 そいつはやはり、鹿嶋恋だと。 気付くのにそう時間はかからなかった。 「……おまえ、」 封印していた記憶が。 今までの、どの瞬間よりも鮮明によみがえった。