旦那様は少し驚いた顔をした後に、あの日の橋の上のように優しく微笑んだ。

「そうか。落ち着いたなら、良かった。東木さんが自分の人生を歩めるのなら、家政婦はいつ辞めてもらっても構わない」

「ありがとうごさいます」

旦那様は優しい。

甘えてなど下さらない。


だからこそ・・・


私は、旦那様の手をそっと握った。