だけどやっぱり・・・

本当に一度だけでいいから・・・

「本当は行きたかったよ・・・」

思わずそう呟いていた。


グシャ。


「・・・えっ?」

慌てて顔を上げてみると、部屋を出ていったと思っていたお父さんが立っていた。

さっきまで私が描いていた絵を左手でぐしゃぐしゃに丸めている。

恐る恐る見上げてみると、信じられないくらい怖い顔をしていて。

聞かれてた・・・

「ちょっとお父さん・・・!」

思わずそう声を上げると、ぐしゃぐしゃの紙が飛んできた。

「お前・・・まだ何が本当に大切か分かってないようだな!父さんがこんなに言ってやってるのに!お前は勉強だけしてればいいんだ!」

そう大声で怒鳴ったかと思うと今度はペンを投げつけてくる。

怖くなって思わず目をつぶる。

ガシャ!

飛んできたペンが顔すれすれを通って床に落ちていた。

割れている。

「・・・っ!」

「全部お前の為なんだぞ!もっと感謝するべきことを!もういい、そこで頭冷やして反省しろ。しっかり考えるんだぞ。」

そう言ってドアが閉められた。