航と一緒にやって来たのは、隣町のアイスクリーム屋さん。

夏季限定営業で、毎朝9時にオープンするお店。


「いらっしゃいませ。いつもご来店ありがとうございます」

この夏休み、ほぼ毎日のように通っているからか、店員さんともすっかり顔馴染みだ。


「どれにしようかな」


顎に人差し指を当てながら、ショーケースの中の色とりどりのアイスを眺める航。

バニラにチョコといった定番の物から、ソース味といった変わり種まで様々なフレーバーがある。


「それじゃあ俺はソーダで」

「私はキャラメルをお願いします」


アイスが入ったカップを受け取ると、航と店内のイートインスペースへ腰かける。

ここのアイスはハートの形をしていて、見た目もとても可愛い。

そして、今日も航と食べるアイスは美味しい。


「そういえば航って、毎日絶対に違う味食べてるよね」


昨日は、ワサビ味のアイスを食べていた。


「ああ。俺、何が何でもこの店のアイス20種類を制覇するって決めてるから」


制覇するって、この人はどれだけアイスが好きなんだろう。制覇したら、何か特典でもあるのかな?

ていうか幸せそうにアイスを食べてる航、めちゃくちゃ可愛い。


「ん?どうした、萌。俺のことじっと見て。俺の顔に何かついてる?」

「えっ!いや、みっ、見てないから」


私は慌てて、航から顔をそらす。


「ふーん。ていうか萌……」

「なっ、何?」


今度は航が私のことをじっと見てきて、心臓が跳ね上がる。