「……痛くない?」
おそるおそる目を開いて顔を上げると、視界いっぱいに広がっていたのは白銀色。
目の前に、シルヴィアに乗ったヴァイスさんがいた。
「アリシア、大丈夫ですか?」
「あ、はい。ヴァイスさんが助けてくださったおかげで」
「私は大したことしていませんよ。それより、奴らですか、密猟者は」
ヴァイスさんは寝間着のダルマティカ姿だったけれど、いつの間にか手には槍を持っている。たぶんあれでさっきの槍を叩き落としたんだろう。
(あ、あの槍……シルヴィアの魔力が宿ってる)
ということは、あの槍はシルヴィアの牙か角でできた契約のマジックアイテム。
ドラゴンは人と契約または服従、友情、親愛を表す時に自らの牙か角を折って与える。そして、その牙や角はなにかのアイテムに形を変えて契約者が身につけることになる。武人ならば武器や防具に。一般人ならばアクセサリーに。
そして、それはそれだけで身につける人にとっては最も価値のあるアイテムになることが多い。
ドラゴンとの絆が強ければ強いほど、それに比例して強い武器が出来上がる。
白銀色に淡く輝く槍は、今まで見た武器の中で一番強靭で強そうに見えた。
つまり、シルヴィアとヴァイスさんの絆がそれだけ深いんだ。



