理仁はお化け屋敷から出るや否や、浅丘さんのところへ急いだ。

 その表情には、独占欲が隠れている。

「理仁は浅丘さんと居る? 僕、はーちゃんのところ行くけど。」

「あぁ、行ってこい。俺は千鶴と居なきゃなんねぇんだ。」

「……分かったよ。」

 相変わらずな理仁。なんて思いながら、ふっと息を吐く。

 理仁とここで別行動になるのはちょっとだけ寂しい気もしたけど、これからはーちゃんと会える。

 そうやって考えれば、別に一人でも良い気がした。

 ――本当に、一人で良かった。

 僕は後々、そう思う事になる。