甘くて優しい青春恋物語 ~文化祭はちょっぴりハプニングと甘すぎな溺愛の予感~

 理仁の上着を着た彼女さん……浅丘さんにそう勧められ、こくりと首を縦に振る。

「うん、それじゃあ理仁と入らせてもらうよ。行くよ、理仁。」

「俺は千鶴んとこ居るから一人で行ってこい。」

「それは寂しいなぁ~。一緒に行こうよ。」

 理仁の気持ちも、分からないでもないよ。

 浅丘さんは今、ふわふわとした黒いミニドレスに黒のヴェールを着用している。

 その上から理仁の上着を着ているから今はあんまり分からないけど、浅丘さん可愛いからこのままにしておいたらナンパされる事間違いなし。

 だから一緒に居たいんだろうけど……元々は理仁が行こうって言ったんだから、理仁にも来てもらわなきゃ困る。

「……分かった。すぐ入ってすぐ出るぞ。」

「ま、僕的にはそれでもいいよ。」

 お化け屋敷を楽しみたいって気持ちもあるけど、僕だって早くはーちゃんのところに行きたい。

 だから理仁のその意見に反対するわけもなく、すぐに乗った。



 お化け屋敷から出たのは、その数分後だった。

 意外にも真っ暗で前に進むのが困難だったから、思ったよりも時間がかかってしまった。