甘くて優しい青春恋物語 ~文化祭はちょっぴりハプニングと甘すぎな溺愛の予感~

 ……って、作り物って言っちゃダメか。

 お化け屋敷にしろ、この学校の事だから凄い手間をかけて作ったんだろう。だから、作り物でまとめちゃダメだよね。

「…………は?」

「え? ……ちょっ、理仁!?」

 うんうんとそう思ったと同時、理仁は急いだようにお化け屋敷の入口へと走っていく。

 僕も急いで追いかけ、荒い息を整える。

 どうしたの、理仁。

 そう言いかけたけど、喉の奥で留まった。

 ……あぁ、そういう事かって納得したから。

「おい千鶴、何でそんな可愛い格好してんだ。」

「あぇ、理仁さん……! わっ……!」

「これ着とけよ。変な虫が付く。」

「むし、ですか?」

「あぁ、悪い虫が付くから着とけ。虫は苦手だろ?」

「わ、分かりました……!」

 うわぁ……すっごい独占欲。

 理仁ってあんなにデレデレするんだ、流石恋。

 あの堅物の理仁をあそこまで溶けさせるんだから、つくづく恋愛は恐ろしいなと思う。

「あれ? 片桐先輩も来てたんですねっ! どうですか、お化け屋敷入っていきませんか?」