甘くて優しい青春恋物語 ~文化祭はちょっぴりハプニングと甘すぎな溺愛の予感~

 僕だってはーちゃんに嘘とか隠し事とかは、絶対したくない。

 教えられるところまでは全部教えたいし、全部知ってほしい。限度は知ってるけど。

 だからはーちゃんが教えてくれなかったあの時、ちょっとだけ不満だった。

 そりゃ、教えたくない事の一つや二つ、それなりに出てくるだろうとは分かっている。

「教えてくれないの?」

《お、教えないっ……! 当日まで内緒……!》

 でもあそこまで隠したがるのは、なんだかおかしい。

 絶対に知られたくないような、隠していたいって気持ちが電話越しでも伝わってきた。

 はーちゃんが嫌がる事は、したくない。

 ずっとそう決めていた僕は、詮索せずにいた。

 気にならないわけじゃない。はーちゃんが教えてくれるって言うなら、今すぐにでも教えてほしいくらいだし。

 だけどはーちゃんが、期待してていいよって言ってくれたから。

 きっと僕が想像以上の事をするんだろうなって、内心わくわくしている。

 文化祭までは、もう少し。

 それまで僕ははーちゃんへの想いを日に日に募らせながら、子供のように楽しみにしていた。