僕、片桐颯斗はものすっごくイラついている。

 ここ最近、ずっと。

「今日もピリついてんなぁ。そんなんじゃ次小森に会った時、余裕ない男だって思われるんじゃね?」

「そんなの自分が一番よく分かってるよ……。」

「んじゃ表面上だけでもいつもみたくニコニコしてろよ。」

「……できてたらこんなにイラついてない。」

 大学の講義の為、一つ前の席に座った友達理仁がからかうようにそう言ってくる。

 そんな彼に、僕は机に突っ伏しながら答えた。

 僕がここまでイラついてる理由。落ち着いてられない理由。

 ……それは彼女である、はーちゃんに会えていない事。

 もうどれだけ会っていないんだろうか。数えるのすら嫌になる。

 そりゃあ大学生と高校生、会える機会が減るのは必然的だけれども。

「お前が最近ずっと不機嫌だから、教師共も怯えてんぞ。」

「それは理仁のほうなんじゃないの……僕はそんな影響力ないって。」

「……はぁ、そうだわお前天然だったな。」

「違う、断じて。」

 こんな僕のどこを見て、理仁は天然だと言うのだろう。まるっきり分からない。