そんな様子を見て、少しだけ羨ましい気持ちになった。

 いいなぁ……メニュー、作るの。

 もちろん看板作りとかが嫌いなわけじゃないけど、メニューを考えたりするのも楽しそうだと思ったんだ。

 まぁ、わがままは言えないんだけどね……。

 はーっとおもむろにため息を吐く。それはきっと、看板作りから来ているものだろう。

「どうしたの、葉月ちゃん。ため息なんか吐いて。」

「あっ、ううん。何でもないん、だけどね。」

「嘘だー、絶対何か考えてたでしょー? 中華カフェの事?」

「……流石。大体合ってるよ、知絵ちゃん。」

「ふふっ、やっぱりね。」

 私の隣に立ち、赤色のポスターカラーを大きなパレットに入れている彼女。

 クラスメイトで私の友達の一人である、知絵(ちえ)ちゃん。

 前髪がぱっつんなのが特徴で、笑顔がとても可愛い女の子。

 そしていつも元気いっぱいでコミュ力高くて、このクラスのリーダーをする事もある。

 そんな凄い子だ、知絵ちゃんは。

 だからなのか、隠し事をしても大体当てられるんだ。