……恋の事、かぁ。

 私なその日、ずっと考えていた。

 まさかそうお願いされるとは思ってなくて、私はその時咄嗟に先延ばしにしてしまった。

『急には出てきそうにないから、明日とかでもいい?』

 知絵ちゃんがそれを了承してくれたけど、実際は何にも思い浮かんでいない。

 改めて聞かれると、難しいものだなぁ……。

 恋って理屈とかで考えられるものじゃないと思っているから、感覚的にとしか言いようがない。

 だけどそれじゃあダメなのは明白で、ベッドにダイブしながら私はぐるぐると思考を働かせていた。

 ……結局、何にも思いつきそうにないけど。

 はぁ……と人知れずため息を吐いて、何となくスマホを開く。

 そのタイミングでピコンッと、一つの連絡が入った。

 相手は……はやくんだっ。

 テンションが上がり急いでロックを解除して、メールアプリに移動する。

 はやくんとは、私の彼氏である片桐颯斗君の愛称。前まではお互い他人行儀だったけど、もっと距離を縮めたくて私から愛称呼びを提案したんだ。