「由香ちゃんは僕のこと、思い出せない?」
「…ご、ごめんなさい。“かずくん”ってひびきは、なつかしいような感じがするんだけど…」
「そっか…。ね、僕たち、昔は ちゅーもしてたんだよ。今キスをしたら、由香ちゃん、僕のこと思い出してくれるかな?」
「きっ、キス!?」
とつぜんとんでもないことを。
目を丸くしながらかずくんの胸を押さえようとしたら、それよりも早くほおに手がふれて、つぶった目のまつ毛が近づいてくる。
すっと通った鼻筋も、白い肌もきれい…。
なんて思っているあいだに、唇が。
やわらかく、ふれる。
――その瞬間。
『ゆかちゃんは、ぼくのとくべつなおんなのこだよ。だれよりも、だーぁいすき』
『ゆかも、かずくんがだーいすき!おおきくなったら、かずくんとけっこんする!』



