限界まで開いた目を久我くんに向けると、彼は甘いマスクにとろけるような笑顔を浮かべていた。
ばくばくっと鼓動がはねる。
く、久我くんが、私のことを、好き…!?
ど、どうして!?
「由香ちゃんは忘れちゃってるみたいだけど、僕たち、“初めまして”じゃないんだよ?」
「えっ!?」
久我くんは一歩二歩と私に近づいてきて、顔をのぞきこんでくる。
上目遣いになった瞳は、まっすぐに私を見つめていた。
「幼稚園のころ、仲良しだったんだ。付き合ってもいたんだけどな。かずくんって呼んでくれてたの、覚えてない?」
「かず、くん…?」
言われてみれば、なんとなく なつかしさがあるような…?



