【SS】忘れていた彼との再会は、甘い溺愛の始まり

「そう?僕には長かったよ?約束した日から、ずっと18歳になるのを待ってる」


「そ、それは…っ」




 言葉に詰まると、かずくんはにこりと笑って、私の左手をにぎった。

 薬指の根元をこすられる感触がくすぐったい。




「僕以外の人を好きになる予定がなかったら、いいよね?」


「そ、そんな予定は、ないけど…で、でも、高校生のあいだに結婚するなんて…」


「周りより早く大人になっちゃうね」




 その言い方は、なんだかずるい…っ!


 昔のことを忘れてしまっても、また恋をしたくらい、私は“かずくん”が好きで。

 それほど心をわしづかみにされている彼の言葉に、“いや”と言えるわけもないことは、自明の理、なのかもしれない。