わたしが好きな彼は、ウワサによるとわたしのことが好きらしい。
わたしは男の子への目移りが早いと有名で、私を嫌う女の子たちの間では常に『男好き』だという悪口が男女間の間に行き交っていた。
でも、ある日、そんな悪いウワサしかないわたしのことを、飛鳥井湊人くんが好いてくれているというウワサを聞いた。
*
「もぉ〜、どうしよう。告白しようかなあ」
「何を迷うことがあるのよ、この絶世の美女が」
四限目が終わり、小学校の頃から親友の林 由紀ちゃんと机をくっつけてお昼のお弁当を食べていた時。
わたしは遂に、三日ほど前に聞いた“あるウワサ”のことについて由紀ちゃんに打ち明けた。
「梨華はモテるんだから、ていうか学年で一番モテてるんだから、もっと自信持ちなさいよ!ウワサによると梨華の好きな人である飛鳥井くんも、梨華のことが好きらしいんでしょ?」
「う、うん……。でもわたしと飛鳥井くん、目が合うだけで話したことはないんだもん」
「そこをなんとか頑張っていくんでしょ!恋愛ってのはそういうもんよ」