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詩子とカラオケを楽しんだ後、私は自分の部屋で今日録音した音声を確認していた。
なにせ1日中録音していたから丁寧にすべてを確認していくには時間がかかりすぎる。

1.5倍速で再生して、目ぼしい内容を聞き逃さないように注意していた。
しかし、録音はしっかりされていたもののその内容は特に変わったものではなく、サッカーの話がメインだった。

時折昨日見たテレビの内容だったり、今ハマっている漫画やゲームの話をしているが、決定的となる会話は少しも取れていなかった。


「なにこれ、本当につまんない」


録音を聞き流しながら盛大なため息を吐き出す。
少しでも面白いものが取れているかもしれないと期待していたのに、期待ハズレもいいところだ。

浩二と豊のふたりには本当に欠点らしい欠点がないんだろうか。
いや、そんなことはないはずだ。

人間は誰しも後ろ暗いものを持っていても不思議じゃない。