腹黒王子の甘い寵愛。

意味のわからないまま、玄関に着くとぎゅっと朔くんに後ろから抱きつかれてしまった。


そして……朔くんがその状態のまま、扉を開ける。


目の前に立っていたのは——


「あ、秋山さん……?」



私たちを見て、不機嫌になる秋山さんだった。


「……結都、何のようだ?」

「桜井に婚約の件を話そうと思って」


っ……!婚約の件……。

やっぱりまだ信じられないよぉ……。


「桜井、ちょっといいか?」

「は、はい……。朔くん、ごめんね」


朔くんに謝って、私のことを閉じ込める腕を解こうとした瞬間、余計にその腕が力んだ。

もちろん逃げることなんて尚更できなくなる。