拳を振りかざしてきた桐谷。瑠奈がいるので手で受け止めた。


そして……ぎゅっと目を瞑って怖がっている可愛らしい瑠奈を少し遠ざけて、追いかけてきた桐谷を返り討ちに遭わせる。


護身術は小さい頃から習っていた。

いくら学園1の不良とは言え、こんなもんか。


バタリと倒れた桐谷。

コイツは……退学だな。


瑠奈が自分のせいだと思い込ませないように、こっそり消そう。


そう……邪魔者はいてはならない。

僕が消して、綺麗な瑠奈を守ってあげなければ……。


「瑠奈、もう大丈夫だよ」

「さ、朔くん……っ……!!き、桐谷さん、大丈夫なの?」

「……僕よりアイツの心配?」

「へっ……?う、ううん、朔くんも心配だったよ?」


朔くん“も”?


「だ、だけど、桐谷さんの方が大怪我してそうだったから……」

「そっか……瑠奈は優しいね」

「こ、これぐらい普通だよ……?」

「あはは、そっか」


瑠奈は遠くでブルブル震えている友人に気がついたのか、僕に「ちょっと行ってくるね」と言って行ってしまった。