腹黒王子の甘い寵愛。

実際のところ逆なんだけどな。


校内を歩けば、相変わらずヒソヒソと騒ぐ女たち。


そして……ある男子生徒が話しかけてきた。


「なぁなぁ東峰、お前桜井と付き合ってるってマジなのか?」

「……そんなわけないだろ」


いつものポーカーフェイスを保ちながら、そう冷たく答えた。


「ははっ、そうだよな、いくら桜井瑠奈相手だからとはいえ、お前が堕ちるなんてありえないよなぁ」


あはははと笑えて少しイラつきながらも、ソイツを無視して歩き出した。


歩いていると、人混みに遭う。

なんだ?


背が高いので、周りよりは視野が広がる中、瑠奈の姿が目に入ってきた。


「瑠奈さん、ずっと前から好きでした!!付き合ってください!」


愛らしく手を口元に運んで、びっくりしている瑠奈に、告白をした憎くてたまらない男子生徒。