「東峰くん!」


元気にそう僕を呼ぶ声が愛らしくて震えそうになる。


「桜井、さん」

「さん呼び珍しいね!あはは」


特に気にする様子がないところもまた可愛らしい中、猫におやつをあげ出した彼女。


絵になる……写真に撮って納めておきたいぐらいだ。

気がついたらここまで彼女に溺れていた。


きっと……その優しさに溺れてしまったんだ。


「東峰くん、最近忙しそうだけど大丈夫?」

「うん、大丈夫」


僕の雰囲気も前に比べてだいぶ柔らかくなったと思う。

これも桜井さんのおかげだ。


まぁ……彼女以外に好かれたいとは思わないので、桜井さんの前でだけ、こうだけど。


最近の様子を見て、幼なじみであり生徒副会長の秋山が気絶しそうなほど驚いていたこともあったが。