シルディアの要望通り、会場に戻ったオデルはイチゴのカクテルを持って来た。
 カクテルに口をつけ、ほっと息を吐く。
 グラスに注がれたカクテルを半分ほど飲んだところで、体が温かくなってきた。
 ぽわぽわとした気分で隣から離れないオデルを見上げる。

「ガルズアースでは十八歳からお酒が飲めるからいいわね」
「アルムヘイヤでは二十歳からだったか。十八のシルディアは皇国(ここ)でしか飲めないもんな。どうだ? 初の酒の味は」
「美味しいわ。でも、なんだかふわふわするような気も……」
「シルディア」
「なぁに? あっ、ちょっと……!」

 へにゃりと笑ったシルディアの手からオデルはグラスを奪い取った。
 シルディアが奪い返す前に、オデルが半分だけ残ったカクテルを一気に煽った。

「うわ、甘っ」
「……人から奪っておいて文句言うの? 美味しかったのに」
「これ以上飲ませたらシルディアは酔うだろうからな。今度から夜会での酒は禁止だな」
「なんでよ」
「聞きたい?」

 オデルの赤い瞳が楽しげに歪む。