放課後、君のとなりで

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もうすぐ日が暮れそうなのに、校内には明日の準備のためにまだ沢山の人が残っていた。


校門には派手な看板が飾られていたり、所々にオブジェが出来ていたりと。


校庭には即席のステージが出来上がっていたり、露店が構えてあったり。昨日まではまだ殺風景だった校内が、今日一日であっという間に文化祭らしい雰囲気を作り上げていた。


私はそれに少し圧倒されながら、あてもなく校内を一人歩く。


時間的にもう相馬君は現れている筈だと思うけど、いつもその場所はバラバラで、連絡手段も当然ながらあるわけもなく、ひたすら彼を探し回るしか方法はない。


今までは彼から来てくれたり、偶然居合わせたりしていたから、こうして自ら探すのは初めてかもしれない。


私は一階から順番に校内を見て回ってはみたものの、一向に相馬君の姿を見つけることが出来なかった。


外はもう完全に日が落ち、普段ならこんな時間に校内を歩くのは少し怖いけど、今日はまだ沢山の人が残っていたお陰で気持ちが少し楽になる。



そうこうしているうちに、気付けば屋上まで達してしまい、私はまさかと思いながら、入口の扉に手を掛けた。

 


「……相馬君」



案の定。


彼は背を向けながら屋上の手摺りに肘を突き、呆然と空を眺めていた。


ゆっくり近付いてみると、彼も私の気配に気付いたのか、首だけをこちらに向けてくる。


「あれ?朝倉さん来てたんだ」


どんな顔をしていたのかと思いきや、意外にもけろっとした様子で私に微笑みかけてくる相馬君。


期限は今日までだというのに、そんな慌てる素振りも見せず、私は何だか拍子抜けしてしまう。


「随分と余裕だね。明日が文化祭だっていうのに」


それが何だか悔しくて、頬を軽く膨らませながら、私は相馬君を軽く睨んだ。


「うん。もうここまで来たら焦っても仕方ないかなって」


確かに、これまで散々探し回ってきたのに未だ見つかることのないストラップ。


まだ校内全てを見たわけではないけど、それなりにありそうな場所は全部捜索したので、そろそろ諦めてもいい頃合いかもしれない。


相馬君には、はっきりとそう伝えるつもりだったけど、彼自身がそれに気付いたのであれば、私から言うことはもう何もなかった。