「寒かろう?」
「……へいき、だよ」
「このみちゃんはだいぶ俺のことナメてんね」
「っ…」
「失礼。これ以上冷えるとわりとヤバい気がする」
今度は抱かれた肩。
くいっと引き寄せられて、密着。
反動で引き離しそうになった私など知らんぷりで加えられる力。
擦った摩擦でどうにか身体を温めようとしてくれた。
「こんなの隠しても仕方ないから言うけど、もちろん下心あるよ。前にも言ったように俺は聖人君子もどきじゃねえから、結多は下心がありますご了承くださいね」
ぎゅうっと、目をつむる。
嫌だと思った。
初めて、いやって、思っちゃった。
彼は私みたいな女の子には、基本こんな優しさを与えるのかなと思ったら。
「穂乃花ちゃんのほうが……いい、よ」
「え?」
「穂乃花ちゃんは…小動物みたいで可愛いし、料理も上手でね、……結多くんが優しくする相手として、すごく……お似合いだと思う…な」



