「ねえ、このみちゃん。このままこのみちゃんを拐って2人だけの世界つくって、俺とうとう新世界の王になっていい?」
「………だめ」
「ふはっ。えー、だめ?」
「…そんなの長く……つづかないもん」
「…………」
いつの間にか東屋の下。
木のベンチに座らせられた身体。
雨はさっきより弱まっていて、ここでとりあえず雨宿りだと、結多くんは静かにつぶやいた。
「はい、飲みたまえ」
「……ありがとう」
結多くんのリュックから取り出された、ペットボトル。
もう今の私には戸惑う余裕もなかった。
「うまいでしょほうじ茶」
「…うん」
「みんな渋いとか言ってきたけど、ほんと分かってないよほうじ茶先輩の素晴らしさを」
今できる精いっぱいで笑いかけると、隣に座った結多くん。



