「なんで長袖ジャージ持って来なかったんだよ俺…、詰めが甘いんだよ毎回。彼ジャージ的なのが見れたってのにちくしょう」
じわりと目尻に涙が浮かぶほど、温かな声。
私の身体を支える腕は、なにがなんでも離さないという気持ちが伝わってくる。
誰にも気づいてもらえないと思ってた。
万が一ぶっ倒れたとしても、しばらくしてから気にされるのかなって。
私ってそんなものだよね…って、ネガティブな心が体調にどんどん影響を出しちゃったんだ。
「…重い…から…、結多くん、わたし……身長…、大きいから」
似合わないよ。
私なんかは男の子におんぶされるのも、似合わないの。
弱味を握っているんじゃないかって言われるくらい。
それくらい、私とあなたは違うみたい。
結多くんが高い高い空に輝く太陽なら、私は低い低い地面の、もっと下に暮らす蟻。
蟻だけに光を注ぐなんてこと、周りのみんなが困っちゃう。
────ぜんぶ口に出ていたなんて、私は知らなかった。



