「……っと」
わかっていたように支えてくれる結多くん。
「ほーら、こんな無理してた。熱あるし、カラダあつすぎるし、苦しそうだし、トータルでマジしんどそう。こんなの病院に行かなくても分かるよ、このみちゃん」
「……ゆいた、くん」
いろんなものを省略した行動だった。
気づいたときには結多くんの背中に乗っている私。
せめての折り畳み傘を差しながら、私だけでも濡れないようにしてくれていた。
自分で歩けるから大丈夫、
迷惑かけたくないから離して。
そんなことを何回か繰り返したけれど、「うるっせえ」と、結多くんにしては珍しい強引さで言うことを聞かされた。
「お、ラッキー。そこに東屋ある。このみちゃん、もうちょっとの辛抱ね」
軽くセットされた茶色い髪の毛。
頬に触れる毛触りが、なんとも犬みたい。
うそ……だったんだ。
さっきの腹痛は、この時間を作るための。



