折り畳み傘はある。
結多くんに貸してあげることもできる。
トイレの前、屋根の下に佇む私。
男子トイレに向かった結多くんと、離れていく3人。
でも、なんと。
3人の背中が見えなくなってすぐのことだった。
「できればこれ以外の方法で2人になりたかった俺でした」
「えっ…」
「もはや伝説じゃねえ?誰にも自慢できない結多の伝説、また更新しちゃったよ」
聞き慣れた声に振り向くと、男子トイレから出てきた結多くん。
お腹を抱えていることはなく、表情も苦しくなさそう。
「結多くん、もう大丈夫なの…?」
「……このみちゃんさあ。いくら自分が天使だからって、この場合は我慢したらダメじゃん」
「……わ…」
そんな彼は、迷わず私のおでこに手を当てて、困ったように眉を下げていた。
あ……、だめかも…。
結多くんに触れられたとたん、私の身体は甘えるように脱力。



