「あのね、結多くん」
「はい、結多くん」
「……まえの、教室で、」
「ん?」
あたま、撫でてくれたとき。
結多くん無意識だったと思うのだけれど、すごいこと言ってた。
縛りたい、とか。
洗脳がどう、とか。
彼女………とか。
「なーに。このみちゃん」
「……っ、ううん、忘れ…ちゃった」
「…そー?」
そんなわけないよね。
あるはずがない。
もしあったとしても、万が一、あったとしても。
つづくわけ、ないんだから。
「っ…!」
「よろしいのか、撫でても」
「……結多くん…、もう撫でてる…よ」
「このみ殿。それは気のせいと言うのだ」
ふわり、ふわり。
ふたりきりの教室があると、彼は武将さんになって私の頭を撫でてくるみたいだ。
「ちなみにだけど、俺はピンクよりブルーが好き」
「え?」
青色系統がたくさん使われた絵の具。
たしかにピンク系は少ない。



