私のこと愛しすぎだよ、結多くん。





「じゅっ、じゅぎょう…」


「いーんだよ俺が責任とるから。もし成績が落ちて卒業できなかったとしても、俺がね、
そこは一生として責任とるから逆にオッケーすぎるわサボりに感謝」



工作台に乗った、筆や絵の具にスケッチブック。

カーテンが閉められた窓際に並んだデッサン用の石膏像。


絵心や芸術性がない私が苦手とする美術室、結多くんとふたりきり。



「抱きしめたほうがいい?ってか、抱きしめるべきじゃね?このみちゃん泣いてるし、
このみちゃんが泣いてたら抱きしめるのが男だろって俺のばあちゃん言ってたから」


「…もう大丈夫だよ」


「えっ、いやいや、やだよ。50メートル7秒台で走るばあちゃんが言ってたもん」



どうして結多くんのおばあちゃんは私のことを知っているの。

というより、どうして私限定として女の子の慰め方を孫に伝授しているの。


ちがうちがう、50メートルを7秒台は超人すぎる。


いろいろ気になるところが多すぎて、とっくに涙は嘘みたいに引っ込んじゃった。