「このみちゃん」
じゃあ運動部の子たちは?
とくにバレー部は平均も高くて、なかには170センチ近くある子だって居るのに、その子たちは周りから当たり前のように見られる。
得意なことがあると、それを武器にできるから。
「このみちゃん」
対する私の場合は……単純に似合わない。
図体が大きいだけ。
気が弱い、声は小さい、影も薄くて逃げてばっかり。
「ひっく…、ぅぅ、っ」
だめ。
1度嵌まったらなんにも見えなくなっちゃう、私の悪いところだよ。
「さぼろーね、このみちゃん」
「っ!」
ぐいっと引かれた。
ちょうど近くの教室は、この時間は空いている美術室。
泣いてしまうなんて、泣いちゃうなんて。
そんなつもりなかったよ。
本当に、そんなつもり。
ほらまた困らせちゃった。
こーいうところを見せるから、結多くんも気にかけてくれるようになっちゃうんじゃないの。



