穂乃花ちゃんの気持ちは、私が手に取るように分かる。
私も同じだから。
だから仲良くなれたんだ、私たち。
「ゆ、結多くん…、私たち帰るね」
思わず駆け寄って、知らせる。
穂乃花ちゃんの友達として、ここはしっかり言わなくちゃと思った。
「……帰る必要ないよ、このみちゃん。桐山さんも、大丈夫だから」
「ううん。もう十分、楽しめたから…、ありがとう結多くん」
そそくさと荷物を持って、穂乃花ちゃんと一緒に通りすぎようとしたときだった。
「ほのかちゃん、私服かわい~!」と、ひとりが反応したのは。
「それ、ラコスタのキュロットじゃない?あたしも好きなんだ~」
「え…、あ…、うん」
「あたしもね、このトップス。ラコスタなの」
「……今年モデルのやつ、だね」
「そうそう!そのキュロットあたしも買おうかめちゃくちゃ迷ったんだよね~!」
あの日の学校行事、カレー作りとスタンプラリー。
私は同じ班の学級委員長とは距離を縮めるどころか、むしろ溝が深まってしまったような気がした後日談。



