「ほ、穂乃花ちゃん…?」
「…帰ろっか…、このみちゃん。お弁当は……他の場所で食べよう」
「……うん」
私たちは常に分かって生きているんだ。
あんなふうになれないこと。
だからひっそり、私たちらしく日々を過ごしていた。
なんていうか、怖いの。
男子と平気で話せてしまう女の子たちが。
その子たちに笑われたら自分たちにいちばんのダメージってことも知っているから、目立たない場所がちょうど良かったんだよね。
「ちょっ、結多って!なにそんなキレてんのよ?」
「結多らしくないよー?ネタ?ガチ?」
結多くんの声が一切と聞こえないくらい、キャハキャハと激しい女の子たちの声。
着ている服だって、身に付けているバッグだって、ぜんぜんちがう。
メイクも私たちはしていないし、したとしてもいつものおさげを三つ編みにしてみたり、ピンを留めてみたり、それくらい。
────恥ずかしくなったんだよね、自分が。



