「弱味を握ってるって言ってきたの、だーれ?」
「……あらいさん」
ほう。
だれだっけアライって……、ああ学級委員長ね。
「ねえ、このみちゃん。このままこのみちゃんを拐って2人だけの世界つくって、俺とうとう新世界の王になっていい?」
「………だめ」
「ふはっ。えー、だめ?」
このみちゃんの素晴らしすぎるところ、ここにもひとつ。
ちゃんと芯は通っているところ。
「だめ」とハッキリ言えるところ。
これが俺の好きな、このみちゃん節。
このみちゃんの素晴らしさで打線なんかを組もうと思ったときが本気である。
監督はもちろん俺。
審判も俺、相手選手も俺、観客も俺、はい俺とこのみちゃんだけの世界かんせーい。
「…そんなの長く……つづかないもん」
「…………」
でもね、びっくりするくらい控えめなの。
そんなに?え、そんなに??
前世でとてつもないことでもやらかした??
って心配になるほど、きみは控えめ。



