後は物置も兼ねている自室にこもって、宿題を進めるだけ。




「ふぅ……」




静かに扉を閉めると、溜息がこぼれた。

母はいつからか外出が増えて、今では年単位で家に帰ってこないこともざら。

父の愚痴を聞いたところによると、外で“男”を作っているらしい。


守ってくれる人がいるなんて羨ましい、とほんの少しだけ思って頭を振った。

父がお酒に溺れるようになったのは、母が家に帰らなくなったのは、私のせいなんだから。


雑多に積み上げられた物の隙間を縫って、部屋の奥に行く。

窓を背にした最奥が、私の小さなスペース。

背の低い衣装ダンスを机代わりにして、積み上げた教材の下から引っ張り出した宿題に、私は鉛筆を走らせた。