「いや、それは私だって……。アルトナーは伯爵家とはいえ、大した評判も聞かず、何より私とそう年が変わらない男だ。良いわけがあるまいが……」

「だったら!」

 マルガレタは詰め寄りながらも、おそらく父の助力は得られないであろうことをその態度から察した。

 父の優先順位は娘よりも家の存続だ。
 ある意味それは仕方のないことかもしれない。

 だが、それでもほんの少しだけでいい。
 こちらの味方をして欲しかったと、彼女は言葉には出さず落胆したのだった。