「そ、そんな……!」

「ま、そういうことで。それじゃ、私もここらでおいとまさせてもらいます。こちらも忙しい身なので。趣味にね」

 アルトナーはそう言って微笑むと、彼らに小さく会釈をした。

「お、おい! それでは我らの計画は最初から無意味だったことになるではないか!」

「いえ、その、申し訳ありません! ま、まさか巫女殿が南国人などとは思いもよらず……!」

 大司教は部下を怒鳴りつけ、教会の面々は上司の激昂に慌てふためく。
 アルトナーと巫女には目もくれず。

 ぎゃいぎゃいと男たちが騒ぐ中で、巫女は少しだけ考えるようにうつむいた後、背を向けるアルトナーを呼び止めた。

「……あの!」

「……何か?」