「不幸な結末、ねぇ……」

 国教会は権力を持っていても、実力行使をするような集団ではない。
 彼らは何か行動を起こそうとしているわけではない──それが単なる強要の言葉に過ぎないことを、アルトナーは司教の声色から察した。

 とはいえ、巫女の名声を笠に着て、二人を無理矢理結婚させようとしていることに変わりはない。
 まったくもって理不尽なことである。

(何だっていうんだ、本当に……)

 アルトナーは辟易として、巫女を見上げた。

 彼女はその視線に気づき、「どうか従ってください。あなたたちの幸せのためにも」と声を掛ける。

 と、そこへ、一人の男性が堂内に駆けこんできた。