「それは……どうして?」

「何、単なる好奇心ですよ。先の考古学同様、自分では知り得ないことに、私は強く興味を惹かれるのです。とはいえ、学園の方は、こんな中年が足を踏み入れるわけにもいきませんからね」

 その言い方から察するに、彼は本当に好奇心だけで、マルガレタの話を聞きたがっているようだった。

 そこには下心や表裏などない。ただ純粋な知識欲を、隠すことなく満たそうとする少年のような心。

 あるいは、国教会からの責を彼だけが負うことへの気兼ねに対する配慮も、少しばかりはあったのかもしれない。

 いずれにせよ、そんなアルトナーの言葉を不思議と嫌だと思うことはなく、マルガレタは彼の頼みを快諾した。

 それどころか、彼に会う口実ができたことに、どこか嬉しさと楽しみな気持ちすら生まれていた。