「……ビックリした?」 スイートルームに入ってすぐ。 次郎は窓の外に広がる景色を眺めながら言った。 「……はい。すごくビックリしました」 「普通に話せよ、美月」 あの日と同じように、次郎がにこりと微笑む。 瞬間――。 次郎に会いたくて。恋しくて。 ずっとずっと我慢していた涙が、はらはらと頬をつたった。