ひとつ鉄則を破ってしまったから。 これ以上の過ちを犯したくなかった。 ――それでも……。 次郎に会いたい。 偶然どこかで出会えるんじゃないか。 そんな期待を抱きながら、ホテルに足を運ぶお客様の中に次郎の姿を探している。 「――笹木! ちょっと来い」 そんなある日、あたしはベルキャプテンに呼ばれた。