幸せそうなカップルを飢えた目で見ているあたし。


いいなぁ、いいなぁ。

幸せそう。

今日だけでいいから、その彼氏、あたしに貸してください。




ロビーに戻ると、次のお客様を部屋案内するべく、フロント前にスタンバイ。

もちろんこのときも、笑顔キープのモデル立ち。





「ちょっと訊いた?」




背筋をピンと伸ばしたあたしの隣。

同期入社の理恵子が、小さな小さな声で耳打ちしてくる。