「うーん…」
酷く喉が渇いて目を覚ました。
あ、寝ちゃってたんだ。
時計を見ると、お風呂を出てから二時間くらいが経っていた。時刻はちょうど午後十時を回るところだった。
お腹には薄手の肌掛けが掛けてあった。柊が持ってきてくれたのかな。
その柊はと言うと、リビングの机に突っ伏しながら眠っていた。
心配かけちゃったよね。
私はお腹に掛かっていた肌掛けを柊の肩に掛けた。
「心配かけてごめんね」
そう小さく呟くと、柊はぱっと目を開け、私を力強く抱きしめた。
「ちょ、ちょっと柊!?」
先程優しく抱きしめてくれたのとは違って、少し乱暴で苦しかった。
「く、苦しい…」
思わずそう零すと、柊は我に返ったように私の身体を優しく離した。
「悪い!桜、大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「急に倒れるし寝るしでびっくりした」
「ごめん。ただのぼせただけで、気が付いたら寝ちゃってて。もうめっちゃ元気だよ!」
柊を安心させるため、少しオーバーに元気アピールをした。柊はほっと息をつき、また私を優しく抱きしめた。
「よかった…」
そう心底安心したように私を優しく抱きしめる柊を感じて、私の心臓は一度大きく跳ねた。とくんとくんと、その鼓動は少しずつ早くなっていく。恥ずかしさと落ち着かなさと、それでも不思議と安心感があって、私は柊に身体を委ねる。
今顔を見られたらきっと真っ赤になってるんだろうなぁ。
普段より少し早い心臓の音も、心地よい安心感も、恥ずかしさと照れで熱くなる身体も、きっと一つの答えにつながっているのだと、薄々感じ始めていた。



